【2025年最新】建設・土木業界のM&A動向

建設・土木業界のイメージ画像

建設・土木業界の最新動向やM&A事情について、M&A仲介のプロであるストライクの専門コンサルタントが解説いたします。

監修者

小黒 航平

大学卒業後、2019年に新卒でストライクに入社。M&Aコンサルタントとして、これまでIT業界、食品業界、建設業や建設資材卸売業、製造業において複数の成約実績を誇る。直近では、売上30億円のハウスメーカーの成長発展の手段としてM&Aを支援。業界に対する深い知見をもとに事業承継型だけでなく成長戦略型のM&Aにも携わる。

建設・土木業界とは

建設・土木業界は、都市や社会基盤を構築するための重要な役割を担う産業です。この業界には、建物の新築や改修、インフラ整備、道路や橋梁の建設、地盤改良など、多岐にわたる分野が含まれます。これらの活動は、地域経済の発展や生活の質向上に直結するため、国や地域の経済政策とも密接に関係しています。

建設業は、建築業・土木業に大別されます。建築とは、住宅やビル、商業施設、公共施設などの建物を設計・施工する分野で、主に街の景観に関連する建築物を提供することを目的としています。住宅の耐震性や耐久性に関わる工事も建築に関する領域です。
土木とは、道路、橋、ダム、トンネルなどのインフラや公共工事を計画・建設する分野で、社会基盤を整備し、人々の生活や経済活動を支えることを目的としています。

建設・土木業界の市場規模

建設投資額(名目値)の推移

出典:国土交通省「令和6年度(2024年度)建設投資見通し」

建設・土木業界の市場規模は、世界的に見ても非常に大きく、日本国内においても主要な産業の一つです。各調査によって数字は異なるものの、国土交通省の統計によると、2024年度の国内建設投資額は73兆200億となる見通しです。2023年度と比較し2.7%増加しており、建築が47.2兆・土木が24.8兆と共に前年比で増加しています。直近は新しい工事は減りつつあり、新しい道路や橋梁を作るよりも、今あるものを修繕していく工事が増えています。

現在の建設・土木業界が抱える課題

人手不足と高齢化

建設・土木業界では、特に地方において慢性的な人手不足が深刻化しています。また人手としては足りていても高齢化が進んでおり、若い人材の確保が急務となっています。ある程度の売り上げ規模のある会社であっても、倒産するケースが増えており、人材不足による黒字倒産も発生しているのが現状です。
国土交通省の資料によると60歳以上の技能者が全体の4分の1を占めており、10年後にはその大半が引退すると予想されており、より若い層の確保・育成が必要となっています。

年齢階層別の建設技能者数

出典:国土交通省「建設業における働き方改革(令和5年度)」
(総務省「労働力調査」(令和3年平均)をもとに国土交通省で作成したもの)

資材価格の高騰が追い打ちをかける

人材不足だけでなく、資材価格の高騰も建設・土木業界を苦しめています。2021年のウッドショックから始まり、ウクライナ戦争などの影響もあり、木材だけでなく住宅設備も手に入りづらくなっています。結果として新築の家が建てられないという事態に直面しているのです。

建設・土木業界のM&Aの件数

建設・土木業界のM&Aの件数

出典:株式会社ストライクによる集計データ

近年、建設・土木業界ではM&Aの件数が増加傾向にあります。直近では業界全体で年間約34件のM&Aが実施されました(2024年)。これには、人手不足の解消や技術力の強化、地域での競争力向上といった背景が影響しています。
また、困っている会社の譲渡の他に、経営的に安定していても将来的な不安を払拭するために大手の傘下に入るという事例も存在しています。

建設・土木業界のM&Aのメリット・目的

譲渡側のメリット

  • 1.金銭的なメリット

    株式をオーナーが手放すことで金銭的なメリットを受けることができます。中にはまだ若い40代~50代という年齢であっても、アーリーリタイアをしたいという相談を受けることもあります。

  • 2.人材不足の解消

    M&Aによって直接的な人員の強化に繋がる他、自社だけでは実現の難しい待遇の改善などにも繋がります。また大手と組むことで採用力の強化に繋がるというメリットもあります。技術者だけでなく経営側として社長の右腕となる人材を派遣してくれるというケースもあります。

  • 3.会社の事業継続

    事業承継に悩んでいた企業がM&Aをすることで、後継者不足の問題が解決し、事業の継続を行うことができます。営業機会の創出・仕入れ単価の抑制など、規模が大きくなることによるメリットを受けることで会社の事業継続に繋がります。

譲受側のメリット

  • 1.人材の確保

    譲渡側のメリットと同様に、譲受側にも人材を確保できるというメリットがあります。経験のない新人ではなく、経験豊富な人材をまとめて獲得することで、全体としての品質の向上や、採用にかかるコストの削減をすることができます。

  • 2.官民の補完

    建設・土木業界では、公共事業(官)と民間事業(民)を行っている企業があり、それぞれ得意不得意があります。M&Aを通じて、譲受企業は譲渡企業が持つ事業領域を補完することができます。例えば、民間の大型プロジェクトを中心に行っている企業が、官公庁向けの公共事業に強みを持つ企業を買収すれば、両者の強みを組み合わせることで、安定した収益源を確保することが可能になります。また、公共事業の入札に参加する際に必要な資格や許認可を持っている企業を買収することで、行政との関係を強化し、さらなる事業機会を得ることができます。公共事業を強みにしていた会社が一般住宅や老人ホームを扱えるなど、事業領域の拡大が可能になるのです。

  • 3.エリアの拡大

    建設・土木業界は地域に根付いた企業も多く、新しくエリアを開拓することは難しいといわれています。M&Aによって地域に根差した企業を買うことで、これまで入り込めなかったエリアに進出できるようになります。

建設・土木業界のM&Aの注意点

譲受側の注意点

  • 1.許認可を引き継げるかどうか

    譲渡側が保有している建設監督者や管理責任者などが引き継げないケースもあるため、営業するために必要な許認可を引き継げるかどうかが重要です。認可の引き継ぎができない場合、譲受は再申請や新たな認可取得のための時間と費用がかかる可能性があります。

  • 2.企業文化の統合

    M&A後に問題となるのが、企業文化の違いです。お互いに異なる文化がある場合、どのように融和していくかが課題となります。これを放置すると、組織内での対立が深刻化し、従業員のモチベーション低下や業務効率の低下を招く可能性があります。

  • 3.財務リスクの評価

    買収先の財務状況を適切に評価し、潜在的なリスクを見極めることが重要です。特に過去の負債や使途不明金・粉飾決算などが今後の財務リスクに直結する可能性があるため、注意を払う必要があります。また未払い残業代なども課題となるケースが多くあるため、十分に調査する必要があります。

リスクに対応するにはプロによる助言が重要

企業文化や財務リスクなどは課題が表面化しないケースも多く、過去にデューデリジェンスで出てこなかった事象もあります。どのような点に注意して見ればよいのかは経験豊富な専門家に相談することが重要です。

建設・土木業界のM&A事例3選

以前から変わらずに後継者の不在という理由が最も多く、最近では40代から50代の潜在的な後継者不足に悩む企業が多くなっています。
また直近では会社を成長させていきたいという理由で、新たな営業機会を得るための手段としてM&Aを選択する経営者が増えてきています。

建設・土木業界のM&A事例①

■後継者の急死による事業承継

譲渡会社 建設業

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譲受け会社 総合不動産業

初代である父親が会長となり50代後半の息子が2代目として社長を務めていたところ、2代目が突然急死してしまったケース。急遽会長が復帰したものの、年齢的な問題もあり、一気に後継者問題が噴出してしまいM&Aを行いました。

建設・土木業界のM&A事例②

■不動産会社が人材会社を子会社化したケース

譲渡会社 人材派遣会社

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譲受け会社 総合建設会社(準大手ゼネコン)

建築土木・不動産事業を営む総合建設会社が、同業種ではなく人材派遣業の会社を買収したケース。人材派遣業と組むことでグループの人材確保を目指しM&Aを行いました。

建設・土木業界のM&A事例③

■エリアでの販売力強化を目指したケース

譲渡会社 地場工務店(京都市)

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譲受け会社 総合住宅会社(愛知県)

関西を中心に販売する工務店が、地域密着で事業展開する各地の地場工務店の買取を進めています。

専門家にM&Aを相談するメリット

建設・土木業界は
  • 後継者不足が深刻化している
  • 人材の高齢化や若い世代の確保が急務になっている
  • 営業機会の創出のためこれまでとは異なる領域にチャレンジする必要がある
などの特長を持ち、課題を解決するために今後も活発にM&Aが行われる可能性の高い業界です。

M&Aは誰に相談するかが非常に重要ですが、
業界の知識や特性を正しく理解している成約実績豊富なコンサルタントに相談しましょう。
株式会社ストライクは3,200件以上のM&A実績があり、建設・土木業界だけでも200社以上の経験があります。業界に専門特化したコンサルタントがあなたのM&Aを強力にサポートいたします。

ストライクのM&Aコンサルタント

橋口 和弘

大学卒業後、事業会社にて法人営業に従事し中小企業の課題解決に向けて取り組む。2010年にストライクに入社、M&Aコンサルタントとして製造業を中心に事業承継型や成長型のM&Aで多数の成約実績あり。現在、当社における製造業、建設業の統括責任者として、M&Aを通じて全国の経営課題解決に向けて活動している。

小牧 成宜

大手証券会社、独立系ベンチャーキャピタルを経て、ストライクへ入社。ストライク入社後は、ベンチャーキャピタルで培った投資先企業の株式上場やM&A支援経験を活かしながら、様々な業種の企業のM&Aを支援。全国の製造業、建設業等の事業承継課題の解決、成長支援、業界再編を目的としたM&Aに数多く携わっている。

小黒 航平

大学卒業後、2019年に新卒でストライクに入社。M&Aコンサルタントとして、これまでIT業界、食品業界、建設業や建設資材卸売業、製造業において複数の成約実績を誇る。直近では、売上30億円のハウスメーカーの成長発展の手段としてM&Aを支援。業界に対する深い知見をもとに事業承継型だけでなく成長戦略型のM&Aにも携わる。

鈴木 悦也

大卒後、財閥系大手不動産会社へ入社。個人・法人向けに不動産評価・開発・資産運用・売買等のコンサルティング業務に従事。その後、ストライクに入社しM&Aコンサルタントとして、製造業・建設業・介護業界等複数の成約に関与。中堅中小企業の事業承継型M&Aから成長戦略型M&Aまで、様々な案件に携わる。

小幡 勇人

大学院にて白色LEDの研究を専攻。卒業後、ストライクに新卒入社。学生時代は学業の傍ら、ECサイトで生活雑貨を販売し、月間50万円以上の売り上げ実績を出す。ものづくりの業界そのものを変革させる製造業のM&Aにひかれてストライクに入社。現在は、M&Aコンサルタントとして製造業や建設業を中心に、多数の案件に携わる。お客様の想いに寄り添った提案を心掛けている。

秋吉 洋斗

大学卒業後、新卒でストライクに入社。大学時代には射影幾何学を専攻。現在は、M&Aコンサルタントとして、建設業界、製造業界、卸売業界、教育業界などを中心に複数の案件に携わる。直近では年商2億円程度の工業用製品を扱う製造業の成長支援型M&Aを支援。

山田 瞬

大学卒業後、大手監査法人に入所。主に総合商社の会計監査・内部統制監査業務に従事。その後、事業会社にて経理財務業務、ベンチャー投資、M&A業務などを経験し、ストライクに入社。会計・税務・バリュエーションの専門家として多数の案件を支援。

建設・土木業界におけるストライクの実績

成約インタビュー

株式会社LUMBER ONE 代表取締役 矢澤 俊一 氏、取締役社長室長 矢澤 俊樹、ストライク依田、ストライク大西

上場から一転、M&Aで全株を譲渡
ヤマエグループに参画して描く
親子で挑む事業拡大への道

私たちは会社を大きくしたいという軸がありました。それを実現する手段は株式上場がすべてではなく、M&Aもあるとわかり舵を切りました。

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ビィ・エル・シー株式会社 アドバイザー(前代表取締役社長) 上田学氏、ビィ・エル・シー株式会社 取締役 上田整氏、株式会社山大 代表取締役社長 髙橋暢介氏、株式会社山大 取締役 ビィ・エル・シー株式会社 代表取締役社長 阿部竜也氏、ストライク鈴木、ストライク佐々木

木材がつないだ新たな未来
首都圏と東北を結ぶ、
建築サプライチェーンの革新

専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることが、新たな道が開けるきっかけになるはずです。

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四国旅客鉄道株式会社 総合企画本部 田中智之氏、四国旅客鉄道株式会社 総合企画本部 副本部長 宮本博通氏、四国旅客鉄道株式会社 常務取締役 総合企画本部長 髙畠雅彦氏、四国旅客鉄道株式会社 総合企画本部 専任部長 河田憲吾氏、ストライク山口聡士、ストライク大西皓平

地方創生とM&A戦略:
JR四国 髙畠雅彦常務に聞く、基礎建設コンサルタント子会社化の真意

連結経営の観点からも、グループ全体で技術力を高めていく上でも、非常に良い機会だと判断しました。

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株式会社基礎建設コンサルタント 代表取締役 中木 一文氏、ストライク山口

徳島県から四国全域へ!
JR四国グループとなった建設コンサルタント会社が描く未来図とは

今後の事を相談する相手を得られたということも心強いです。

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成約実績

2025年6月

譲渡会社

建設・土木
所在地:関東

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譲受け会社

建設・土木
所在地:北海道

譲渡理由後継者不在

M&Aスキーム株式譲渡

2025年6月

譲渡会社

建設・土木
所在地:九州・沖縄

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譲受け会社

製造業
所在地:九州・沖縄

譲渡理由後継者不在

M&Aスキーム株式譲渡